「点数が高いので安心ですね」と言われたけれど…
WISCの結果を受け取り、
「思ったより点数が高くて安心しました。」
「この結果なら心配ありませんね。」
と言われた保護者の方もおられるかもしれません。
高い得点は、お子さんの大きな強みの一つです。理解する力や考える力、学ぶ力など、得意な面があることを示している場合もあります。
しかし、WISCで高い得点だったからといって、学校生活や友達との関わりで困ることがまったくないとは限りません。
実際には、
- 授業の内容が物足りなく感じる
- 友達との関わりで誤解が生じる
- 「できる子」と期待されすぎて苦しくなる
など、能力の高さと環境との間にギャップが生じることで困りごとが見られる場合があります。
この記事では、高い得点だった子どもにも見られることがある困りごとと、その見方について紹介します。
WISCは「生活のしやすさ」を測る検査ではありません
WISCは、
- 言葉で理解する力
- 見て考える力
- 覚えながら処理する力
- 作業を進める速さ
など、子どもの認知特性を知るための検査です。
一方で、
- 人との関わり方
- 集団生活への適応
- 気持ちのコントロール
などを直接評価する検査ではありません。
そのため、高い得点だったとしても、生活の中では困りごとが見られることがあります。
反対に、得点が平均的でも、困ることなく毎日を過ごしている子どももいます。
WISCは、「困る・困らない」を判断する検査ではなく、お子さんの特徴を理解するための手がかりの一つです。
ケース① 友達との関わりで誤解されることがある
小学2年生のAさんは、授業中の問題がすぐに分かることが多く、グループ活動でも考え方がすぐに思い浮かびました。
そのため、友達が考えている途中で、
「こう考えると分かりやすいよ。」
「もうできた?」
と声を掛けることがありました。
Aさんには手伝っているつもりでも、友達は急かされたように感じたり、「自分で考えたかった」と感じたりすることがあり、少しずつ一緒に活動しにくくなってしまいました。
その後、WISCを受けると、言語理解や流動性推理が高く、理解するスピードが速いことが分かりました。
学校では、
「友達も今、一生懸命考えているところかもしれないね。」
「答えを教える前に、少し待ってみようか。」
といった具体的な声掛けを続けることで、友達との関わり方にも少しずつ変化が見られるようになりました。
このようなケースは、「能力が高いから人間関係がうまくいかない」ということではありません。
理解する速さの違いが、人との関わり方に影響していたと考えられる場合もあります。
ケース② 授業の内容が物足りなく感じることがある
小学3年生のBさんは、新しい単元でも先生の説明を聞く前に内容を理解できることが多くありました。
プリントも早く終わるため、授業中は本を読んだり、窓の外を眺めたりしていることがありました。
その様子から、
「集中が続かないようですね。」
と言われることもありましたが、家では授業内容をよく理解しており、テストでも良い点数を取っていました。
WISCでは、言語理解や流動性推理が高く、新しいことを理解する力が強みであることが分かりました。
そこで学校では、課題が終わった後に取り組める発展課題や読書の時間を設けるなど、理解する力に合った学びの機会を用意したところ、落ち着いて授業に参加できる場面が増えていきました。
このようなケースでは、「集中力がない」というよりも、授業の進み方と子どもの理解する速さに差があったと考えられることもあります。
高い点数だからこそ、見落としたくないこと
高い得点だった子どもは、
「この子なら大丈夫。」
「何でもできるはず。」
と期待されることがあります。
しかし、得意な力があることと、すべてが得意であることは同じではありません。
例えば、
- 理解することは得意でも、作業には時間がかかる
- 学習は得意でも、人との関わりでは戸惑う
- 新しいことは覚えやすくても、環境の変化には不安を感じやすい
など、一人ひとり表れ方は異なります。
WISCでは、高い得点だけを見るのではなく、指標ごとの特徴や日頃の様子も合わせて考えることが大切です。
高い点数=ギフテッドとは限りません
高い得点だったことで、「ギフテッド」という言葉を目にしたり、耳にしたりした保護者の方もおられるかもしれません。
しかし、WISCで高い得点だったからといって、すぐに「ギフテッド」と判断できるわけではありません。
ギフテッドとは、高い知的能力だけでなく、学び方や興味・関心の特徴、生活の様子なども含めて考えられることがあります。
そのため、WISCの結果だけで判断することはできません。
まずは、「高い点数だった」という結果だけに注目するのではなく、お子さんが学校や家庭でどのような場面で力を発揮し、どのような場面で困りやすいのかを見ていくことが大切です。
まとめ
WISCで高い得点が出ることは、お子さんの大きな強みです。
しかし、高い得点だからといって、学校生活や友達との関わりで困りごとがまったくないとは限りません。
大切なのは、「点数が高い」「点数が低い」という結果だけで判断することではなく、お子さん一人ひとりの特徴や、日常生活での様子を合わせて理解することです。
WISCは、お子さんを評価するための検査ではありません。
お子さんがどのような場面で力を発揮し、どのような場面で支えがあると過ごしやすくなるのかを考えるための手がかりとして活用していくことが大切です。
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