【WISC】数唱が苦手と言われたとき ― ワーキングメモリーとの関係

WISC 支援・解説 指標別の見方・特徴

WISCの検査には「数唱」という課題があります。

検査者が読み上げた数字を聞いて、

  • そのまま言う(順唱)
  • 逆から言う(逆唱)
  • 小さい順に並べて言う(数整列)

という方法で答える課題です。

保護者への説明では

「数唱が少し弱いですね」

と言われることがあります。

すると

「記憶力が悪いということですか?」

と心配になる方もいます。

しかし、数唱で見ているのは単純な記憶力だけではありません。


数唱で見ている力

数唱では主に

ワーキングメモリー

が関係しています。

ワーキングメモリーとは

「一時的に情報を覚えながら、同時に処理する力」

のことです。

たとえば

  • 聞いた内容を覚える
  • 順番を入れ替える
  • 並べ替える

といったことを、頭の中で同時に行います。

この働きが必要になるため、
数唱の結果はワーキングメモリーと関係することが多いのです。

【WISC】ワーキングメモリーが低いと言われたときの考え方


順唱・逆唱・数整列の違い

数唱にはいくつかの種類があります。

順唱

聞いた数字をそのまま言います。

3 − 8 − 2

3 − 8 − 2

これは主に

短期的な記憶

に関係します。


逆唱

聞いた数字を逆から言います。

3 − 8 − 2

2 − 8 − 3

これは

  • 覚える
  • 順番を入れ替える

という処理が必要になるため、

ワーキングメモリー

がより強く関係します。


数整列

聞いた数字を

小さい順に並べて言う課題

です。

3 − 8 − 2

2 − 3 − 8

これは

  • 覚える
  • 並び替える
  • 正しい順序で答える

という複数の処理が必要になります。


園や学校ではどう見えるか

ワーキングメモリーに負担がある場合、日常生活では

  • 指示を最後まで覚えていられない
  • 説明を聞いても途中で分からなくなる
  • やることが途中で抜けてしまう

といった様子として見えることがあります。

園で

「先生の指示が通りにくい」

と言われる背景にも、こうした特徴が関係していることがあります。

【園で「先生の指示が通らない」と言われたとき】WISCの結果から考える理由と支援


保護者からよくある相談

数唱が弱いと言われた保護者からは、

「家では普通に会話できるのに大丈夫ですか?」

「覚えが悪いという意味ですか?」

「勉強についていけなくなりますか?」

といった相談を受けることがあります。

数唱は単純な記憶力だけを見ているわけではありません。

特に逆唱や数整列では、覚えた情報を頭の中で操作する力も必要になります。

そのため、数唱が苦手でも、言葉の理解や知識量が十分に高い子どももいます。

結果を見るときは、数唱だけで判断するのではなく、他の指標や普段の様子と合わせて考えることが大切です。


数唱が弱い=問題というわけではない

WISCの結果は

「できないこと」を決めるものではありません。

子どもによって

  • 言葉の理解が強い
  • 視覚的な課題が得意
  • 推理が得意

など、さまざまな特徴があります。

そのため、数唱の結果だけで子どもを判断することはできません。

大切なのは

どんな場面で困りやすいのかを理解すること

です。

WISCの結果は、その手がかりになります。

例えば、聞いた指示を一度にたくさん覚えることは負担でも、メモや見本があると力を発揮できる子どももいます。

WISCは「できる・できない」を決める検査ではなく、「どんな環境なら力を発揮しやすいか」を考えるためのヒントになります。


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